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シベリア実習<イルクーツク・ウラジオストク> :情報科学研究科 三幣 俊輔 (平成29年度基礎科目参加体験談)


氏名 三幣 俊輔
所属大学院 情報科学研究科
課程 修士 2年
参加フィールドワーク シベリア実習<イルクーツク・ウラジオストク>

平成29年6月23日~ 7月2日

 

派遣プログラムの内容について

本シベリア実習では、6月23日から7月2日までイルクーツク及びウラジオストクの二都市に滞在し、各種実習を行ってきた。実習においてはロシア極東地域の歴史文化的背景・自然環境に関してその特徴を理解すること、現地博物館の収蔵品や一次資料の管理・アクセス・活用方法を学ぶことを目標とした。これら目的を達成するために、実習内で行った活動内容としては以下に大別される。

1.市内のエクスカーションを通じ、各都市の歴史文化的背景や自然環境を肌で感じ取り、理解する。

2.大学施設や研究所を訪問して講義を受け、収蔵品や一次資料に触れることで、各種一次資料の活用方法を学ぶ。

二国間・二都市間比較

本実習では二都市に滞在することができたため、二都市間の差異を肌で感じることができた。まず大きな差異は観光地化されているかどうかである。初めに滞在したイルクーツクはシベリアのパリとも呼ばれているかつての交通の要所であり、その影響か新旧の建物が織り交ざり、歴史的な街並みがうかがえる古都であった。しかし内陸部でアクセスが難しく、観光地が近隣のバイカル湖のみであるためか、観光客は多くなく、結果として市内ではロシア語しか通じない、いわゆるロシアのイメージを体現した街であったと言える。一方のウラジオストックはかつて閉鎖都市であったものの、APECが開催されたこともあってか急速に再開発が進められており、経済発展に力を入れている様子がうかがえる西欧の商業都市という印象であった。また沿岸地域で近隣国から近いこともあり、アジア系の観光客が多く見られ、英語などの外国語も比較的通用する街であった。日本から見えているロシアのイメージに近い都市と、経済発展を遂げつつある都市。これら2種の都市を肌感覚として比較できたのは大きな経験であった。

また、食事という観点からロシアと日本との関連性を見出すことができた。興味深かったのは両国の食文化に類似性が見られた点である。他の西洋諸国とは異なり、ロシアでは毎食で汁物を食べる文化が比較的根付いていたように思える。また、中央アジアとの交流が深いことからか、ロシアでの食事にはアジアの食文化が多く取り入れられていた。日本で餃子として有名なdumplingが、ペリメニ、包子、ボーザといった名前で複数流通していることが、その例である。これらから、日本人が遠い国として感じているロシアは、アジア圏の私たちにとって意外に身近な国なのではないかという実感を得ることができた。

 

資料活用

滞在した二都市には大学の施設・博物館や公的な美術館施設など、各種資料を収蔵・展示している施設が数多く見られた。日本においては大都市でないとあまり存在していない文化施設が各都市に多数存在しているというのは、国民の文化資源への理解を高めるうえで非常に重要であると感じる。

また文化施設が多数ある上、収蔵・展示されている資料の数も豊富であるという点には驚きを覚えた。話を伺うと、大学の博物館であれば卒業生や教職員からの寄贈のおかげでコレクションを充実させられているようである。これも文化施設が多いために市民にとって博物館が身近に感じられていることの所与であるかもしれない。これは人文社会学系の展示のみならず、自然科学系の標本等でも状況は同じである。小さい時からこれらの資料に親しめる環境があれば、近年日本で叫ばれている理科離れの改善にも役立つのかもしれないと感じた。

一方で資料の展示方法には日本との差異が感じられた。日本では資料数が少なくともパネルや文字による解説を充実させ、訪問者が一人でも展示物を学べるようになっているのに対し、ロシアの博物館では資料の文字解説が少なかった。今回は研究者や学芸員からの解説のおかげで収蔵品に関し深く理解することができたが、そうでない観覧者はいかにして展示物を鑑賞しているかについては疑問が残る。博物館や展示方法に関する考え方自体が異なるのか、ロシアでは観覧者が解説無しに展示物を見ることはないのか、この点については掘り下げてみると興味深いかもしれない。

そして意外であったのが、博物館資料として収蔵されている日本関連資料が想像以上に多いという点である。特に、日露戦争以後の資料のみならず、1800年代の資料までが収蔵されていることから、ロシアにとっては古くから日本が近隣国として意識され、分析の対象であったことが実感できた。これに対し、日本の博物館においては、ロシアに関する収蔵資料を目にすることはあまりない。近隣諸国であるロシアに、もう少々目を向けてみることが重要であるかもしれない。

 

参加してみての感想

本実習においてロシアを訪れたことで、ロシアのイメージは良い意味で大きく変化した。ロシアは寒く、暗く閉鎖的というイメージを抱いていたが、実は夏場には気温も非常に上昇する上、ソ連時代とは異なり街は開放的であった。そして、意識してはいなかったものの、ウラジオストクであれば東京から2時間と非常に近い隣国であることも再認識させられた。

また、受け入れ先であったイルクーツク国立大学や極東連邦大学の教員の方や学生には大変よくしてもらった。こちらの拙い英語にも真摯に対応していただけ、外国語コミュニケーションのための良い機会になったと思う。今後、より一層の外国語によるコミュニケーション力を身に着ける必要を痛感させられた。

本プログラムでは非常に濃密な10日間を送ることができた。学生の負担が少ない状態で、個人では訪れにくい印象のあるロシアへ訪問することができたというのは非常にありがたかった。ぜひ本プログラムが今後も続いていってほしいと思うとともに、今度は自身でもロシアの別の都市に滞在してみたいと思う。

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